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SEA-GOTO 〜海のシゴト ガイドブック〜

橋本 学


プロジェクトを任せてもらえるその信頼が最高の営業成績


 墨田川造船株式会社で設計を担当している吉沢朋泰さん。前職では橋・鉄橋など橋梁(きょうりょう)設計に携わっており、この経験を生かしつつ、綿密な計画のもとに試行錯誤しながら船舶を設計しているという吉沢さん。造船設計者の仕事について詳しく伺いました。
(取材協力:墨田川造船株式会社)


造船会社の「造船営業」とは

 船舶の設計は、マーケティング・営業部門が作成した基本計画をもとにして、最新の技術を駆使しながら進められます。発注主の要望に対応しつつも、安全性と実用性を考慮した上で、いかにコストを抑えた船を設計できるか、それが設計者の腕の見せどころになります。

  1. 船の構造をすべて把握する、専門性の高いやりがいある仕事
  2. 造船のすべての工程に影響する役割だからこそ船が完成したときの喜びも大きい

5:00
起床
8:45
始業
12:00
昼食
13:00
仕事開始
20:00
終業
22:30
帰宅
24:00
就寝

お客様と技術者をつなぐ「造船営業」の仕事について


商談中も笑顔を忘れない

図面を手に加工を指示する様子

業務内容について教えてください。

 当社は主に中小型の高速船を建造しており、私は船体の設計を行っています。
 船によっては何通りも設計案を考え、最適な図面を描かなければなりません。難易度の高い仕事ですが、自分の頭の中でイメージしたものが、実際の形となったときの充足感は格別です。

船のどの部分までを設計しているのでしょうか?

 お客様が希望する船の大きさや速度などに合わせて設計しています。他にも、船を塗装する塗料や内装に設置する椅子、テーブルを選ぶといったことも設計の仕事です。過去にあったご要望では、操縦する部屋で船員が暖かく過ごせるように、モコモコのカーペットを敷きたいといったものもありました(笑)。


造船業を志したきっかけ


仕事の比率は事務所が7割、現場が3割

入社したきっかけは?

 当社に入社するまでは、別の会社で橋や鉄橋などの橋梁(きょうりょう)設計をしていたので、造船にはまったく興味を持っていませんでした。その後、前職を退職。求人サイトのホームページに掲載されていた募集を見て、「造船もおもしろそうだ」と感じて応募したのがきっかけです。

実際に船の設計をしてみた感想は?

 設計者は綿密な計画を立て、そして試行錯誤して、建造完了までの道筋を立てる必要があります。そうした意味では、「造船設計者」とは戦国時代の“軍師”に近いイメージだと思っています。

どんな人がこの職業に向いていると思いますか?

 基本的には忍耐強く、繊細な人が向いていると思います。少し心配性の人のほうが、図面を描いていく過程で、さまざまな不安要素が頭をよぎり、それに対する確認や検討を怠りません。また、依頼主とのやり取りでうまく対応できるようなコミュニケーション能力がある人が望ましいでしょう。


「造船」という仕事の魅力

やりがいを感じる瞬間はどんなときですか?



 ひとつのものを設計する場合、かなりの検討する時間を費やします。難易度の高い設計を自分の頭の中でイメージし、その船が実際の形となったときの充足感は格別です。
 なにより、ひとつひとつの業務を着実に終わらせ、完成した船を眺める船主の喜ぶ顔を見るのが一番の喜びです。

では反対に、難しさや苦労を覚えるときは?



 図面のミスを少なくすること、また、他人が見やすい図面を描くことを心がけています。仕事が立て込んでくると、図面を早急に仕上げなければならない場合もあります。そうしたときは焦りや不安で精神的に苦しく感じることもあります。
 図面のミスは現場工程に多大な影響を与えますし、ミスの原因追究・対処は設計した自分自身で行うため、現場と設計の両方の現場で悪影響をあたえてしまうからです。
 ひとつひとつの業務を着実に終わらせていくことが唯一の解決方法だと思っています。

この職業に就いてよかったと思うことは何ですか?

 完成直前にすべての機器関係が問題なく動くか、要望どおりのスピードが出るかを確認するため、徹底した検査や試運転をするのも私の仕事です。お客様からの仕様どおりに船が完成していることが絶対条件となるので、すべての検査を終えて建造した船を依頼主に引き渡したときに、「すばらしい船だ!」といった言葉をいただけると、この仕事をしていて本当によかったと感じます。


休日の過ごし方について教えてください。

 家族と過ごす時間を大切にしたいので、なるべく日曜日に休みをとり、子ども達が遊べる場所に出かけるようにしています。

将来の夢や目標を教えてください。

 大学では材料力学の授業はありましたが、ほとんどが数式を導き出すための講義ばかりで、実際の仕事でどのように活用されているのかがわかりませんでした。
 しかし、前職の橋梁設計や現職の造船設計では、材料力学を用いた「強度」の計算をすることが大切であり、また機会も多くありました。
 「強度」は、目に見えにくい分野でもあるので、興味がわかない、受けつけない人が多いと思いますが、安全性を考えた時に最も大切な分野だと思っています。将来的には、「強度」が設計においてどのように活用されているかを一般の方にも知ってもらい、興味を持ってもらえるような活動ができればと考えています。

2019年2月に都内本社で取材

自分がやりたい仕事だけが天職ではないと思います。今まで経験してきたこと、学んできたことを生かせる仕事・職種を見つけることも大切です。これから先、いろいろな体験や経験をしていく中で、造船設計という仕事に出会い、目指していただければうれしいです!


PROFILE:
46歳 入社15年目 千葉県出身
造船設計 吉沢 朋泰
墨田川造船株式会社

1991年
千葉県立木更津高等学校卒業
1996年
千葉工業大学機械工学科卒業
1998年
千葉工業大学大学院機械工学専攻卒業
1998年
株式会社サクラダ設計部 在籍
2003年
墨田川造船株式会社技術部 入社